こちらも依頼されていたTARON VL。
1959年、NKS(日本光測機工業)より発売のカメラです。中級機メーカー製としては割と作りがいいです。コレクターの間ではよく知られたF1.8モデルではなく、F2.8モデルです。シャッターもそれに従い、COPALではなくCITIZEN-Pを搭載しています。
所見としてはシャッター不動、距離計不動、ヘリコイド固着、露出計不動。ジャンクにはよくある症状です。
シャッターはいかにも羽根油。距離計とヘリコイドも油の固化でしょう。
早速分解。
シャッターは案の定羽根油でしたので、羽根の清掃とガバナーへの注油で完了。シチズンのシャッター音ていいですね。私は非常に好きです。キュンッというガバナーの音が非常に気持ちがいいです。羽根油以外のトラブルにあったことがないのも好印象です。
ヘリコイドはコンタクトクリーナーを注しながら回していくとスムーズに。
問題は距離計でした。
ローコスト機のはずなんですが、距離計は意外に凝った作りです。プリズム回転用と線形性補正用の二つのカムが回転する方式で、どちらのカムも固着していました。早速カムをはずし、注油して組み直したのですが、それでもスムーズには動いてくれませんでした。一つにはテンションをかけるバネが弱っていたということもありましたが、それだけではないようです。どうやら距離計ブロックとカムの組み合わせの間にガタがある構造らしく、本来オイルでフロートしていたような雰囲気です。ですがちょうどいい粘度のオイルが手持ちになく、グリースとシリコンオイルを混ぜて使用しました。
これでやっと復活です。
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