20051029

RICOH S-2 その後

以前修理したRICOHのS-2ですが、その後再びシャッターが不調になってしまいました。

これを機に、シャッターをオーバーホールすることにしました。

じつは、この個体の絞りは、羽根油で固着していたところを無理に動かしたらしく、8枚中3枚が破損していましたので、それも交換しましょう。

さて、徹底的に分解です。

絞り羽根をいただくため、もう一台のS-2も同じように分解です。

以前分解S-2ですが、やはり羽根の根元まで油がまわっていました。
シャッターケース自体にも油がにじんでいます。

これらはきれいに洗浄してあげなければいけませんね。

ついでですので、もう一台の方もオーバーホールをすませておきました。

以前も書きましたが、このS-2は、シンクロタイミングが切り替えられず、また、セルフタイマーが使えませんでした。
シンクロタイミングの方は、レバーのクリックバネがはずれていました。
セルフタイマーは、ガバナーの稼働、不稼働を決めるカムの固着でした。

これらを修正し、完了です。

シャッターの組み立てにはちょっとコツがいります。
羽根はただ乗っかっているだけですので、ケースに収めるときにはダボがはずれないようにしなければいけません。
ショックを与えてもいけませんし、傾けてもいけません。

こうしてオーバーホールしてやるとさすがに快調です。

SX-70のミラー交換

以前ミラー割れを放置していたSX-70ですが、 ミラーの交換を行いました。

蛇腹破れで放置していたジャンクから慎重にミラーをはずして移植です。

SX-70のミラーは、シリコンゴム系の接着剤で接着されています。柔らかい物ですので、カッターなどで切るようにするとはずれます。

で、このミラーを接着となるわけですが…

ガラスの接着はやはりシリコンゴム系がいいんでしょうけど、手元のコーキング材は硬化時間がかかりすぎるので位置ずれが心配でした。
そこで、酢酸ビニル系のゴム系接着剤を使用してみたのですが、これはどうやらガラスにはうまく接着してくれないようでした。
次に、ゼリー状の瞬間接着剤を使用してみたのですが…

はじめうまく接着してくれたのですが、作動時の可動ミラーのショックではずれてしまいました。

やはりシリコン系がいいようです。

ミラーの位置の固定は、3本のダボがボディーについており、それで位置が決められるのですが、接着剤の厚さでどうしてもミラーの位置が変わるのが気になっていました。
硬化するまで押さえておいて、なるべく位置のずれがないようにはしたつもりでしたが、やはり少し焦点位置がずれていました。
果たしてこれでピント位置が来るのだろうか?

本来こういう構造であれば、ミラー位置の調整機構がついているべきでしょう。もしくは可動ミラー側にその機構があるのか?
そのような機構は見あたりませんし、それを組み込むスペースはなさそうです。

試写の結果は問題ありませんでした。ファインダーでのピント位置と撮影結果のピント位置が一致しています。

どうやら、ミラーの位置の不正確さに影響されないように、可動ミラーの可動範囲は、本体のミラーの位置に合わせたところで固定されるようになっているようです。

20051016

PRIMOFLEX VA

東京光学(トプコン)の1955年発売の二眼レフ、PRIMOFLEX VA型です。

見た目はふつうの二眼レフですが、東京光学が作るとさすがに高級感があります。
実際結構な高級モデルだったようです。

オートマットではありませんが、結構凝った機構が内蔵されており、シャッターボタンと連動した巻き止め解除、二重露出防止機構、その機構の解除もできて多重露出も可能となっています。

おもしろいのが、ファインダーにも絞りがついていることです。
一眼レフでは、絞り込みの操作ができる物が多く、ボケ具合や被写界深度の確認ができるのですが、二眼レフでは開放で見るのがふつうでした。
でもこのカメラは絞り込んでみることができるのです。
でも、二眼レフで絞った状態を確認できるとは思っても見なかったので、果たしてこの機能にどれほどの実用性があったのかは疑問ですね。
どうせ大きなパララックスもありますしね。

さて、この個体では巻き止めの解除が不調でした。
カウンターか割板の動きがスムーズではないのが原因だろうとは思うのですが、これを確認するためには側板をはずさなければなりません。
それには皮をはがさなければならず、非常に面倒です。

おまけにこの個体、非常にきれいで、皮をはがすのは躊躇してしまいます。

そこで、巻き上げノブをはずして、すきまから注油してみようかと思いました。
結果うまくいったようです。

このVA型からレンズがTopcorになりました。
一般的なテッサー型ではなく、トリプレット型だそうなのですが、Topcorの銘を冠しているので、写りがどうなのか非常に興味がありますね。

RICOHFLEX NEWDIA

またまた二眼レフです。

RICOHFLEX NEWDIAです。
NEWDIAには1957年のシャッターがSEIKOSHAのモデルと、1956年のCITIZENのモデルがあります。

この個体はSEIKOSHAのモデルです。

余談ですが、私の祖父が使っていたのもRICOHFLEX NEWDIAで、CITIZENモデルでした。

祖父のカメラと同じモデルでシャッター違い、しかも結構きれいと言うことで気に入っていた物ではあったのですが、残念なことにファインダーのルーペが無くなっていました。

そこで、どうにかしてルーペを取り付けたいのですが、他のカメラのルーペをはずすのは忍びない物があります。
以前RICOHFLEX DIAのルーペが無くなっていた物を修理したときには、虫眼鏡を使用しました。
しかし、倍率、口径のちょうど合う虫眼鏡がなかなか無く、思案しているといい物を見つけました。
オペラグラスの対物レンズです。
口径のちょうどいい物があったのですが問題は倍率です。
倍率はオペラグラスの焦点距離、おおよそ全長から想像して探してみると、良さそうな物があったので取り付けてみました。

なんとぴったりです。

めでたくルーペも復活です。

OLYMPUS WIDE II

OLYMPUS WIDEといえば広角カメラの元祖として有名です。

その後継機のWIDE II後期型です。初代から巻き上げがレバーになり、巻き戻しもクランクになりましたが、見た目はほとんど変わりません。
II型の後期から「W」のプレートが貼られました。

この個体はシャッター羽根の脱落、絞りの不良でした。

羽根の脱落はかつてOLYMPUSの35-Sでも経験があるのですが、オリンパスの組み立てに問題でもあるのでしょうかね。

羽根の脱落を直すには、シャッターの羽根が見えるところまで、つまりシャッター自体をほとんどばらさなければならず、シャッターによっては結構な時間と労力を要します。
このカメラの場合、ビハインドシャッターなので、シャッター自体は割と簡単に取り外せるのですが、シャッターを分解しなければならないことには変わりません。

シャッターをばらしてみると、幸いにして羽根のダボは折れていなかったため、元通り組み直して復活しました。

続いて絞りですが、シャッターとは違い、前玉のすぐ後ろにあります。
前玉をはずすといきなり絞りのユニットが現れ、そのまま取り出すと絞り羽根がバラバラになってしまうので、取り出さずに位置を調整しました。

これで見事復活です。

オリンパスのカメラ全般にいえるのですが、シャッター音や各操作部分が非常に優しい感じのするカメラです。
華奢な感じといってもいいかもしれません。
そっと使ってあげないと壊れてしまいそうで、優しく使ってあげたくなるカメラです。

ELMOFLEX Zuiko付き!

また二眼レフです。

ELMOFLEXです。さて、何型でしょう?
二眼レフはマイナーチェンジも多く、型の特定に苦労します。
これも何型かよくわかりませんでした。
IV型の特徴もありますし、V型の特徴もあります。どちらも1955年頃のモデルですので、部品の供給状況によりマイナーチェンジが行われたのでしょうね。

さて、ELMOFLEXはオリンパスのZuikoレンズがついているモデルがあることで有名です。
この個体もZuiko付きです。
Zuikoは人気もありますが、二眼レフやスプリングカメラのZuikoは曇ることでも有名です。
私の手元の2台のELMOFLEXも盛大に曇っています。

ですが、この個体は幸いにもテイクレンズの曇りは軽微な物でした。ビューレンズは結構曇っていますがピントの確認は何とかできるようです。
ファインダー清掃をしておきましょう。

さて、この個体の所見ですが…
前板繰り出し不良と、絞りの不調でした。

前板の繰り出しは、構えたときの左側の繰り出しがうまくいっていないようです。
カムの状態を見るためには側板をはずさなければいけませんね。
そのためには皮をはがさなければならないのですが…

二眼レフの修理で一番億劫なのがこの皮はがしです。
すでに皮の弾力が無くなっていることが多く、はがすときに簡単に割れてしまう上に、貼ってある面積も非常に大きいので作業が大変です。
このカメラもやはり皮が固くなっています。
どうにかこうにかはがしてカムを見てみると、カムのガタ防止のダボが抜けていました。
このダボはバネを押し込む形で入っているために、再び挿入するのは結構至難でした。

絞りの不調は、前カバーの絞りダイアルと絞りとのリンク不調でしょう。
というのは、どうも前板の皮を一度はがした形跡があるためです。
前カバーをはずしてみると、案の定リンクしていませんでした。
せっかくですのでレンズとシャッターの清掃をして組み直しました。

本当は貼り直された前板の貼り皮が不格好ですので作り直してあげたかったのですが、時間切れですのでここで終了としました。

超マイナー Walz ENVOY M-35

35mmはマイナーなカメラが続きますね。

Walz ENVOY M-35です。

割となんの変哲もないカメラなんですが、結構マイナーなカメラです。ネットで検索してもさっぱり情報が拾えません。
名前は聞いたことがあるカメラだったんで、そんなにマイナーだとは思わなかったんですが…

ENVOY 35が1959年で、以前紹介した、仕様が似ているTARON VLが1959年、Aires 35 IIIsが1958年ですので、おそらく1958~1959年頃のカメラなのでしょう。
非連動の露出計を搭載した距離計連動カメラとして、全くなんの変哲もありません。
ですが、作りは悪くなく、操作感も良好です。

唯一変わった仕様として、露出計に場所をとられたためか、軍艦部に巻き戻しクランクが無く、底部についています。この底部の巻き戻しクランクの動力は本体を上下に貫く細いシャフトを通じて、フィルム室上部よりフィルムを巻き戻すというとても凝った作りになっています。
TARON VLや、Aires 35 IIIsでは巻き戻しクランクは露出計と同軸になっていました。

どちらがいいとはいえませんが、これはこれでおもしろい構造ですね。

この個体の所見は、シャッターの貼り付きとレンズのカビです。
お約束ですね。
軽傷でしたのでお約束の清掃をして終了です。